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藻場通信

磯焼けの海を海藻の

藻場通信 vol.34

2023年夏季の高水温

自然環境部 海域担当チーム
田村 勝

 暑い夏がやっと終わりました。気象庁によれば、札幌の2023年8月の平均気温は26.7℃ であり、これは8月の観測史上最高で、平年よりも4℃以上高かったようです。

 海の中の水温はどうでしょうか。道総研が公表している余市前浜水温情報1)によれば、2023年の旬別水温は、6月中旬から10月上旬のすべての旬で平年より2℃以上高い状況が4か月に渡って続いています。地域別に見ると、道総研が公表している海況速報2)によれば、2023年7月下旬の水温は、日本海では平年よりも2~3℃、道南太平洋では平年よりも3~4℃、オホーツク海では平年よりも2~5℃高く(いずれも表面水温)、道東太平洋では黒潮系北上暖水の分布域で平年よりも5~7℃高いことが報告されています。

 2023年夏季がかなりの高水温であることが分かりましたが、コンブの生育状況はどうだったのでしょうか。写真1、2は、函館にある弊社の試験施設の様子です。毎年同じ場所で試験を行っていますが、2022年、2023年ともに、4月には同じようにマコンブを繁茂させることができました。ところが、2022年8月にはマコンブの群落が残っていたのに対し、2023年8月は群落の大部分が消失してしまったのです。
 

 

写真1 2022年函館のマコンブ群落(左:2022年4月、右:2022年8月)

 

 

写真2 2023年函館のマコンブ群落(左:2023年4月、右:2023年8月)

 神谷ら(2006)は、道南太平洋と津軽海峡の数地点において月別の水温とマコンブ生産量の相関を調べ、前年の夏季水温が上昇すると生産量が減少することを示しています。

 2023年夏季の高水温は翌年のマコンブ生産量を減少させるのか、今後の動向を注視していきたいと思います。

 

参考資料

1) 沿岸定置水温情報(余市前浜水温情報)
https://www.hro.or.jp/list/fisheries/research/central/section/kankyou/suion/index.html

2) 海況速報https://www.hro.or.jp/list/fisheries/research/central/section/kankyou/sokuhou/index.html

3) 神谷徳成・和田明・長谷川一幸(2006) 沿岸域に生育するマコンブの生育域・生産量と水温及び海底基質との関連性に関する研究. 水工学論文集, 第50巻, 1477-1482.

 

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