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エコニュースVol.119

2003年05月01日

廃棄物と循環型社会シリーズ Part1

循環=無限?

株式会社エコニクス
営業企画部 企画課 清田 健

 近頃よく耳にする言葉、深層水。「深層水は循環型資源だから資源量は無限だ!」と聞いたことがあります。海水は3大洋を数千年かけて循環しているから、少々使っても再生されるそうです。一応は納得したのですが、「本当?」と不思議に感じたのも事実です。

 ところで、法律によると、廃棄物は不要物と定義されています。つまり廃棄物か否かは有用・不要という人間の主観によって決まることになります。このため同じ物質がゴミだったり資源だったりすることがしばしばある訳です。

 さて、資源かゴミかによらず物質は循環しています。水循環や炭素循環から血液の循環やお金の循環もあります。自然の循環では、血液循環のように、人間にとっての不要物質が有用物質に変換されることが多いようです。炭素循環では、動物→死→分解→CO2 →植物体(O2放出)→動物 という具合です。これを「自然浄化作用」と呼びますが、視点を変えれば、植物にとってみれば、人間や動物の活動も自然浄化作用なのかも知れません。しかし…、それぞれの作用間の調和(バランス)が崩れたらどうなるでしょうか?血液中の老廃物が肺や肝臓の能力を上回ったら?大変なことになります。地球温暖化は炭素循環の不調和が原因であると考えるとあらゆる問題が必然のことと理解できます。深層水も資源量は膨大ですが、無限ではないのかも知れません。

 私たちにとって調和ある循環が不可欠ですが、経済効率を優先した「大量調達・大量生産・大量消費・大量廃棄」の社会システムが調和を崩すことは容易に想像できます。しかし、果たして、どうすれば調和がとれるのでしょうか?まずは現状分析が必要です。この分析手法としては、物質収支(マテリアルバランス)や物質の流れ(ーマテリアルフロー)の分析があります。

 循環型社会の形成に向けた取り組みとして、次回はこうした分析等についてお伝えしたいと思います。

 
図 社会経済と自然環境における循環

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