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エコニュースVol.149

2005年11月01日

外来種シリーズ Part3

外来生物に学ぶ

株式会社エコニクス 
 環境事業部 調査・計画チーム 大湊 航一

 1976年に子門真人さんが歌い、国内で400万枚の大ヒットとなった名曲「およげ!たいやきくん」・・・店のおじさんと喧嘩して海に逃げ込んだタイヤキくんは、他のたい焼きには味わえない「楽しさ」と、海生の魚には味わえない「苦しみ」の両方を抱えて健気に生きていきます。この「楽しみ」や「苦しみ」はあくまでも人間から見た場合の尺度ですが、未知の世界で行動するタイヤキくんの気持ちは、海外から日本にやって来た外来生物の気持ちに近いモノがあるような気がします。生態的に不利または不安定な状態にあった侵入個体が生息域を拡大していくには、それなりの「苦楽」があったことが想像できるからです。

 環境省が作成した外来種リストには約750種の動物が掲載されていますが、これらの中にはヒトが移入・放逐した種だけではなく、ヒトの作り上げたルート(構造物・経路・行為など)を巧みに利用することで生息域を拡大していった種が多く含まれています。近年でも青函トンネルを抜けてきたと思われるキタキツネが東北地方で目撃されるなど、高等生物が自らの意思によって危険箇所を潜り抜け、新天地を目指した事例は数多くあります。彼らの行動原理はあくまでも生物の生存本能に因るものですが、未知の世界で生活・繁殖を始めた外来生物たちのバイタリティーには敬服せざるを得ません。

 今年6月に施行された「外来生物法」に基づき、今後、外来種対策が国内各地で展開されていくことになる訳ですが、その際に最大の障害となるのも、生物が生来より備えている「バイタリティー」ということになるのではないでしょうか。我々ヒト、とくに現代人は、文化の利便性に浸りすぎたおかげでバイタリティーを喪失しつつあります。特定の種の駆逐はもちろんのこと、繁殖行動の抑制や生息範囲の制限を行うことは、すなわち、その種が備えている生存本能をヒトの手により抑えつけることと同義です。物事に対して飽きっぽく、統制が取りにくいヒトという種がこれを成し遂げるのはなかなか難しいと思います。

 ところで「およげ!たいやきくん」のモデルとなったたい焼きは、東京都港区麻布十番街にある明治42年創業の老舗「浪花屋総本店」のたい焼きだそうです。一方、タイヤキくんが海で出会うモモイロサンゴは長崎、奄美大島、沖縄、鳥島の周辺に生息する種です。喧嘩の勢いとは言え、東京の海から最低でも1,000km以上もの距離を泳いだタイヤキくんのバイタリティーも相当なものです。新天地を目指す者は、すべからく生命力溢れる者でなければならない。外来種問題に携わろうとする当社のような企業も、まずはそのバイタリティーを示さなければならないと思う次第です。

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