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エコニュースVol.307

2019年01月01日

海洋プラスチックごみ

株式会社エコニクス 泊事業部
村上 俊哉

 

 「世界の海では自然のバランスが崩れている!!」とはよく聞くフレーズです。

 私たち人類が海を危機へと招いている1つとして、海洋プラスチックごみの問題が挙げられます。

 世界のプラスチック生産量は、1964年(1,500万トン)から2014年(3億1,100万トン)の50年で20倍以上に急増しており、今後20年間でさらに倍増する見込みであることが示されています。毎年少なくとも800万トン分のプラスチックが海に流出し、海のプラスチックの量は2050年までには魚の量を上回る試算結果がダボス会議(2016年1月)にて報告されています。※1

 

 この危機的な状況に対し、私たちは、未来に繋がる長期的な視点と問題解決に繋がる知見を蓄積する必要があります。

 環境省では海岸漂着物対策専門家会議が2018年11月7日に開かれ、6月22日に施行された改正海岸漂着物処理推進法についてマイクロプラスチック対策、漂着ごみなどの円滑な処理の推進、3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進による発生抑制などが盛り込まれた基本方針の改定案が審議されました。※2

 

 先に述べた専門家会議でも議題となったマイクロプラスチックとは、5㎜以下の微細なプラスチックごみを指し、その発生の状況や分布実態、生態系や人の健康への影響については未解明な部分が多いことで知られています。※1そのため環境省では、海域・河川や湖沼などの公共水域における分布実態や、生態系等への影響の把握に係る調査研究を推進しています。

 海域ではプランクトンネットを用いた実態調査や柱状採泥を実施しており、マイクロプラスチックに吸着しているPCB等の有害化学物質の濃度などを分析しています。

 

 微細なプラスチック類であるマイクロプラスチックは、含有・吸着する有害な化学物質が食物連鎖中に取り込まれることによる生態系への影響など、海洋環境に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。また、微細であるためその回収・処分が困難となることから、廃プラスチック類の排出抑制が対策の要となります。

 主に排出抑制の対象とされているものは、プラスチック製品の破片・化学繊維・レジンペレット・マイクロビーズ(スクラブ)・メラミンフォームスポンジなどが挙げられます。何れにしても私たちは、これら製造・流通過程における系外排出の抑制について今まで以上に循環利用を意識する必要があります。

 また、プラスチックごみの拡散防止には廃棄物処理法や海洋汚染防止法等に基づく規制措置の実施と相まって、河川や海岸を有する地域だけではなく、広く国民が当事者意識を持つことも重要です。

 

 私たちがまず取り組めることとしては、レジ袋・ペットボトル飲料・コンビニ弁当等、特に使い捨てプラスチック製品の使用を極力避けることです。

 プラスチック製品は、その利便性から食品産業においては多様な利活用がなされてきたところです。必要以上の利用がなされていないかという観点から、その使用抑制や生分解性プラスチックなど代替素材への切り替え、使用抑制に有効な手段としての容器類の有料化等に取り組むことが重要です。ペットボトルをはじめとする容器包装などについては、リサイクル制度が大きな役割を果たしているところではありますが、一層の排出抑制に繋げるために、よりリサイクルしやすい単一素材の利用や製品デザインの検討、再生原料の活用(ペットボトルは食品トレイなどにリサイクル)、使用済みプラスチックの店頭回収などの効果的な仕組みの広がりが求められています。

 

 当社は「環境ナビゲーション」をキャッチフレーズとして事業活動を行っています。エコニクスはこれからも環境への影響を軽減するための技術の向上に努め、未来に繋がる長期的な視点と知見を蓄積し、環境の課題解決に尽力します。

 

 

 

<参考HP>

※1“海洋ごみとマイクロプラスチックに関する環境省の取組”.環境省.
< http://www.env.go.jp/water/marine_litter/00_MOE.pdf >

※2“水・土壌・地盤・海洋環境の保全 海岸漂着物対策専門家会議 | 第14回議事次第 配布資料”.環境省.
< http://www.env.go.jp/water/marine_litter/conf/c02-14.html >

“水・土壌・地盤・海洋環境の保全 海洋ごみシンポジウム | 2016年度 講演資料”.環境省.
< http://www.env.go.jp/water/marine_litter/2016.html >

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