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エコニュースVol.296

2018年02月01日

<化学分析シリーズ Part13>

ダイオキシン類

株式会社エコニクス 顧問
飯島 龍三

 

 近年、隣国の中国では、急激に成長した経済と共に、北京市や周辺地域を中心に大気汚染が深刻な問題になっています。自動車の排気ガス、火力発電所や家の暖房に多く使われている石炭を燃やしたときに出る汚染物質等が原因とされています。大気汚染によって市民生活に大きな被害が出ているという事、北京市内を昼間でも薄暗い中でマスクをして通勤している姿がテレビや新聞で取り上げられています。現在は日本への影響がそれほど大きくないですが、これから先、黄砂だけでなく、汚染物質の飛来にも十分に注意を払う必要がありそうです。

 日本においては、遠い過去の出来事のような感がありますが、過去に大気汚染が問題になったことがあります。1961年の四日市喘息の呼吸器疾患被害、1970年の東京で発生した光化学スモッグ*1による眼や喉の痛み等の症状被害です。東京オリンピックが開催された当時(昭和39年:1964年)、その時の流行歌である「智恵子抄」の一節に「東京の空 灰色の空」とあります。この時代の都内のどんよりとした空の状況が歌によく表れています。

 

 このような大気汚染物質の一つにダイオキシン類があります。一般に、ダイオキシン類とは、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン (PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン (PCDF)、コプラナーポリ塩化ビフェニル (Co-PCB)のことで、これらをまとめて呼んでいます。ダイオキシンは、もともとポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)のことを指していました。元来、「ダイオキシン」はジオキシンの英語読みで、「ジオキシン」はドイツ語読みです。

 ダイオキシン類には、毒性があり、過去に国内におけるダイオキシンによる健康被害を伴った代表的な事件として、昭和43年(1968)に米ぬか油の摂取にともない、大規模な食中毒によるカネミ油症事件が挙げられます。ベトナム戦争では散布された枯葉剤に不純物としてダイオキシン類が含まれていたため、出生児の奇形多発の原因とされました。

 また、近年では、市町村の廃棄物を受け入れている神戸沖埋立処分場にて、滋賀県高島市が国の基準値を最高で17倍超となるダイオキシン類を含む廃棄物について、違法に7年間搬入していたことが分かり、搬入停止処分とされたことが報道されました。

 

 ダイオキシン類は、工業的に製造された物質ではなく、物の焼却の過程などで自然に生成してしまう物質です。そのため、環境中には広く存在していますが、その量は非常にわずかです。札幌市が公表している清掃工場周辺等の大気環境に係るダイオキシン類調査結果(平成28年度)では、5地点の年平均は、0.017~0.061pg-TEQ*2/m3となっており、いずれの地点でも国の基準である環境基準(0.6pg-TEQ/m3以下)を下回っています。

 

 このように身近な大気汚染等の公害については、国内においては克服された感がありますが、将来に亘って注意する必要がまだまだありそうです。

 


一般的な清掃工場の風景

 

※1光化学スモッグ
 自動車等の排気ガスなどに含まれる窒素酸化物等が、太陽からの紫外線を受けて化学反応を起こすと「光化学オキシダント」という物質ができます。この濃度が高くなると、遠くの山やビルが「もや」がかかったように見えにくくなったりします。この「もや」が光化学スモッグです。

※2TEQ(Toxicity Equivalency Quantity): 毒性等量
 大気中に存在するダイオキシン類は、数多くの種類があり、毒性の強さは、それぞれ異なります。そこで、ダイオキシンでは、各種類の量にそれぞれの毒性の強さの係数(TEF、毒性等価係数)を乗じた値の総和として表わすのが一般的となっています。TEQは、この手順により、各種類ごとの毒性強度を考慮して算出した濃度で、「毒性等量」といいます。

 

 

 

<参考資料>
公害防止の技術と法規 編集委員会編(2014)新・公害防止の技術と法規2014 ダイオキシン類編.一般社団法人 産業環境管理協会.

“環境中のダイオキシン類調査結果について”.札幌市.
< https://www.city.sapporo.jp/kankyo/dioxin/chosa/index.html >

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