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エコニュースVol.030

1995年12月01日

海の生物シリーズ Part5・魚類 その2

お産のメカニズム

株式会社エコニクス
 常務取締役 佐々木 達

 クロソイは北海道以南の日本海各地に分布しており、北海道では日本海側に多く、沿岸性で水深100m以浅に生息しています。大きいものでは体長45cm位にまでなります。クロソイの生活史の概要を図に示します。

 成熟した雌は、6~7月頃約6~7mmの稚魚を約4~5万尾(3歳魚)産み出します。産み出された稚魚は1、2ヶ月間沿岸の表層域、特に藻場で生活し、体長約20mmに達すると徐々に深みへと成長に伴い変動していきます。

 

 その後、季節的浅深移動を行い、水深10~100mの岩礁域で生活をしています。

 雄では満2歳、雌では満3歳で成熟し、成熟した雄と雌は11月~1月にかけ交尾を行います。交尾の時期には雄の精子は完熟していますが、雌の卵は未だ完熟しておらず第1次または第2次卵黄球期の卵です。

 交尾は、雄の個体の生殖口の後ろにある泌尿生殖突起を使い行われます。この突起は哺乳類のペニスと同様に筋肉と海綿体組織からなっており、メバル類では種類によって形態が多少異なっているようです。

 雌の卵巣内に入った精子は卵巣薄板の間で、卵が完熟するまで活性を抑えられ、保存されています。5月頃、卵が完熟し排卵されると、今まで不活性であった精子が活性化し、受精がおきます。卵巣内で卵の分割、発生が進み、この間、胚体と母体との間でガス交感と栄養の供給が行われます。約1月、卵巣内で発生を続けた胚体は5~6mmに成長した仔魚になり、卵黄をほぼ吸収して産み出されます。

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