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エコニュースVol.029

1995年11月01日

海の生物シリーズ Part4・魚類 その1

お産をする魚

株式会社エコニクス
 常務取締役 佐々木 達

 魚類は約4億年前から出現し、現在、全世界を通じ2万2千種~2万3千種が生息しており、このうち日本では約3,600種、北海道では700種が分布しています。

 ちなみに世界で両棲類は約2,500種、爬虫類が6,000種、鳥類が8,600種、哺乳類は約4,500が生息していると言われていることから判断すると、魚類の種類がいかに多いかお解りになることと思います。

 このように、多様性に富んでいる魚類ですので、標高3,500mチチカカ湖から水深8,000mの深海にまで広く生息していますし、またその繁殖形態も様々です。

 大多数の魚類は多量の卵を産み(卵生)、子孫を繁栄させますが、一部の魚では母親が稚魚を直接産み出します。このような魚を卵胎生、胎生魚と言います。しかしながらこれらの魚類は哺乳類とは異なり、真の子宮、胎盤、羊膜などが生じませんが、軟骨魚類(サメ・エイ類)ではこれと同じ機能を果たす偽胎盤、偽子宮等が、また、硬骨魚類では背鰭、濾胞などが変形した組織が形成され、母体と胚体との間で栄養物質の移動やガス交換等の物質交換を行います。

 このような魚はサメ・エイ類のほか、熱帯魚のグッピー、ソードテールなどが代表的ですが、北海道に生息している魚では、メバル類(クロソイ、ガヤ、マゾイなど)、ウミタナゴ、オキタナゴ、道東に生息しているナガガジなどが胎生魚です。ちなみに、生きた化石“シーラカンス”も胎生魚です。

 産み出される稚魚の数は、多いものでメバル類の8~60万個体から、少ないものでウミタナゴの20~30個体です。また、出産時の稚魚の大きさは、メバル類では全長4~6mm、ウミタナゴでは5~7cmと大きく異なり、産出稚魚の数と大きさは反比例するようです。

 次回は、現在各地で養殖が行われているメバル類について、クロソイを例として自然界における交尾、妊娠などの様子を見ていきたいと思います。

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