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エコニュースVol.169

2007年07月01日

<地球環境シリーズ Part3・地球温暖化 その1>

今、地球上でいったい何が起きているのか?

株式会社エコニクス
環境事業部 陸域環境チーム 伊藤 尚久

 近年、世界各国で発生した異常気象に関するニュースが頻繁に報道されています。つい最近(2007年6月下旬)も、イギリス北部において記録的な雨の影響により洪水が発生し、各地で数人が死亡、数百人が避難する事態になりました。また、ヨーロッパ南部などでは記録的な猛暑が続いており、ギリシャでは6月に入り40度を超える日が続き、首都アテネでは最高気温が45度を上回り、熱中症などで死者もでています。
 これらの異常気象は、近年における地球温暖化の影響と考えられています。地球温暖化は世界中で問題になっている「砂漠化」にも影響を及ぼしており、日本でも「黄砂」の被害が増えています。他にも地球温暖化により「アジアでの食料不足」「オーストラリアやニュージーランドでの降雨量の減少」「ヨーロッパでの海面上昇」「アメリカ東海岸でのハリケーン増加による海岸の土壌侵食」「世界各地でのマラリアやデング熱*1等の伝染病流行」などの異常事態が進行しつつあります。
 では、なぜ地球温暖化が進行しているのでしょうか?結論から言うと「温室効果ガス(Green House Gases:GHGs)*2」が原因です。温室効果ガスが大気中に大量に放出され、地球全体の平均気温が急激に上がり始めているのです。現在の地球の平均気温は約15℃ですが、IPCC*3の報告では、過去100年間に地球全体の平均気温は0.3~0.6度と急激に上昇しており、現在のペースで温室効果ガスが増え続けると、2100年には平均気温が少なくとも1.4度、厳しい見通しでは5.8℃も気温が上昇すると予測しています。


 しかし、もしも地球上に温室効果ガスがなかったとすれば、平均気温はマイナス18℃となり、生命の存在できない極寒の星となるはずです。つまり、我々人類を含めた地球上の生物は、温室効果ガスが地表を適温に保ってくれていることで生存が可能なのです。温室効果ガス自体が悪者ではなく、「多すぎる」ことがいけないのです。
 1万年前から現在までの間、地球の温度は4~7℃しか上昇していませんでした。それは温室効果ガスの量が安定していたためです。しかし、人類は産業革命以降、エネルギーを得るために大量の化石燃料を燃やし続けてきました。その結果、適度なバランスで保たれていた温室効果ガスの濃度が急激に増加し、それが現在の地球温暖化を引き起こしているのです。
 何事もバランスということが重要なキーワードであると感じられます。湿原の保全の概念にワイズユース(“Wise Use”:賢明な利用)というものがありますが、これも同様のことかと思います。バランスを保つために私達ができることはまだまだ沢山あり、当社も少しでもそのお力にならなければと思っています。

※1:熱帯地方に住む蚊が媒介する伝染病。温暖化することにより その蚊の生息範囲が広まり、日本の関東までその範囲に入ってしまうと言われている。
※2:二酸化炭素・水蒸気・メタン・フロン・一酸化窒素など
※3:Intergovernmental Panel on Climate Change(政府間の気候変動に関する研究班)の略。地球温暖化の対策に役立つ最新の科学情報をまとめている。1988年に国連の2つの機関「国連環境計画(UNEP)」と「世界気象機関(WMO)」によって設立された。

 

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