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エコニュースVol.205

2010年07月01日

<猛禽類シリーズ Part4>

新米技術者とオジロワシ

株式会社エコニクス
環境事業部 陸域環境チーム 國藤 泰輔

 新米技術者の私が所属する陸域環境チームは、大きく分けて植物班・動物班・魚類班に分かれており、私はその動物班に所属しています。動物班は鳥・哺乳類・昆虫など陸生の動物を幅広く相手にしています。
 昨年度は多くの野生動物との出会いがありました。その中でも、最も長い時を過ごした『オジロワシ』について紹介させていただきます。

 オジロワシはタカ目タカ科に属し、翼を広げると2mにもなる大型の猛禽で、英名のWhite-tailed Sea-eagleという名の通り、純白の尾羽が特徴的です。その雄大な姿は、度々飛翔姿や流氷の上に止まる写真や映像で目にすることも多いかと思います。食性は主に魚や海鳥などを食べ、動物の残滓も食べることがあります。日本以外では、アジアからヨーロッパにかけての一部で繁殖しています。また、国の天然記念物に指定されており、大変希少な猛禽の一種です。
 希少な猛禽類のオジロワシですが、観察すればするほど非常に個性豊かで、1羽1羽が異なった性格をしていることがわかってきます。
 例えば、大きな音が鳴り響くとそわそわする個体がいるかと思えば、どっしりと何事にも動じない個体もいます。そのような個性豊かな子たちを観察する中で、私が特に面白いと思うのは、「夫婦」で観察されるときです。そして、それらの夫婦を擬人化すると、昼ドラを見ているようで非常に面白いのです。
 以下からは、私の独断と偏見で見た、あるオジロワシの夫婦の一日を勝手に想像した心情を交えて綴らせて戴きます。
 ある雨の降る早朝。仲の良さそうなオジロワシの夫婦が、ピッタリと体をくっつけて木に止まっていました。しかし、雄は何か後ろめたいことをしたのか、次第にそわそわしだし、盛んに羽づくろいをするようになります。そして、雌はその様子に気付いたのか、雄の方を凝視するようになりました。
 数時間後、雌の問いただすような視線に耐えられなくなってきたのか、雄は少しずつ雌との距離をあけ、翼を広げたりとだんだん平常心をなくしている様子です。遂には一羽だけで飛び立ち、雌を置き去りにしていきました。そして、その間雌は雄から視線を外すことはありませんでした。
 雄が外出してから一時間ほど経って、雄は雌の元に戻ってきます。そして、雄は機嫌を直してよと言わんばかりに、雌の方へと擦り寄っていきます。雌は許さないわよと思っているのか、まだ信じられないような面持ちで、再び雄を注視します。
 そして、そのやり取りを見ながら、男と女の関係はどこの世界に行っても変わらないのだなと、私は思うのでした。
 新米技術者はそんなことを想像しながら、敬愛する諸先輩の指導の元、技術力の研鑽に勤しむ毎日を送っています。

 

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