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エコニュースVol.347

2022年05月01日

藻場造成への取り組み

 

株式会社エコニクス 自然環境部
海域担当チーム 大島 広幹

 

 弊社は、環境通信ラインナップとして「エコニュース」、「藻場通信」、「エコ森林通信」、「洋上風力通信」をHP上にて定期的に発行しています。今回のエコニュースは、藻場通信でお伝えしている藻場造成の取り組み内容を特集してご紹介します。

 

 弊社は、単管で組んだコンブ生育施設(1基)を用いた藻場造成試験を2020年11月から実施しており、独自に設置した水中ライブカメラにてその様子をHP上で映像公開しています。

 繁茂期の6月(2021年)には、大きなコンブが生長している様子が確認されました。その後、成熟期の10月(2021年)には子嚢斑の形成が確認されており、遊走子の放出を行ったと推察されます。

 現在においては、生育施設を4基に増設して試験を継続しており、その内容を「藻場通信 vol.13」で紹介しています。いずれの施設もコンブが順調に繁茂しており、今後の生長が楽しみです。なお、本試験の履歴については、藻場通信のバックナンバー(vol.9vol.12)でご紹介しておりますので、是非ご一読ください。

 


図 1 コンブ生育施設の繁茂状況

 

 ところで、上記で紹介した「コンブ生育施設を用いた藻場造成試験」の最終目的は、施設周辺にコンブ場を造成することです。

 ここからは、コンブ生育施設周辺の近況について、藻場通信に先んじてご紹介いたします。

 数十年前の施設周辺は、コンブが繁茂していた場所ですが、近年(弊社が当海域で潜水し始めた2014年以降)はコンブの姿をみたことがありません。コンブ以外の海藻も春季に若干生える程度であり、不毛の地のような場所でした。このため、施設周辺にはコンブの遊走子が存在しない、もしくは存在したとしても非常に少ないと考えられました。

 しかし、2022年3月以降、試験を実施している周辺のケーソンや天然岩礁上に少ないながらもコンブの着生がみられており、コンブ以外の海藻もこれまでにないくらい多く、高密度に着生しています。

 ケーソンや天然岩礁上に着生したコンブについては、DNAマーカーを利用した親子鑑定などは実施していないため断定することは出来ませんが、本施設で生育したコンブ由来である可能性が高いと考えています。

 また、コンブ以外の海藻がこれまでにないくらい多く着生した要因については、2021年に本試験の一環として周辺のウニ駆除などの取り組みも行っていることから、その成果だと考えています。

 

 以上、コンブ生育施設を用いた藻場造成試験についてご紹介させていただきました。

 弊社は、「目星をつけた箇所に確実にコンブを繁茂させて核藻場を創出し、その周辺エリアに大型藻場を造成する」技術を確立させるため、今後も継続して研究・開発に取り組む所存です。今後の成果報告をどうかご期待ください。


図 2 コンブ生育施設周辺の状況

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