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エコニュースVol.301

2018年07月01日

<化学分析シリーズ Part14>

身近に潜む有害物質

株式会社エコニクス 環境事業部
生活環境チーム 中山 英雄

 昔は普通に使われていたのに、ある日を境に「毒性があるから使用禁止」となった物質は数知れずあります。有名なものとしては、体温計に使われていた水銀、蛍光灯の安定器の中に封入されていたPCB、断熱材に多用されていたアスベストが挙げられます。

 これらは私が子供の頃には、それぞれの特性から「便利なもの」として多用されていました。私が学生時代に、有機化学の実験で使用した四塩化炭素もその一つです。引火性が無いので抽出や濃縮操作で数多く使用していました。しかし、中枢神経や肝臓、腎臓に悪影響を与え、発がん性もあるとして、今は生産禁止となっています。

 

 「もっと早く教えてよ」ですね。
 化学物質に対する人体影響の研究が進んでいく中、このような有害物質は今後も増え続けて行くことでしょう。当時はその危険性を「誰も知らなかった」のでどうしようもなかったのですが、危険性が判明すればそのままに放置しておくわけにはいきません。抽出等の作業工程で使っていた四塩化炭素であれば使用禁止にし、在庫分を回収・処分してしまえば済みますが、世に広く設置されてしまった安定器の中のPCBや断熱材のアスベストはそう簡単ではありません。使用禁止にしても、過去に設置されたものが世の中に多数残されているからです。

塗料が使用された構造物

 

 同じように、近年問題となってきているのが「塗料」です。過去に橋梁などに使用されていた塗料には、有害であるPCB、鉛、六価クロムを含むものがありました。いわゆる「ペンキ」なので、乾いて固化した塗装面を触ったりしても、中の成分が流れ出て人体内に取り込まれることは無いでしょう。しかし、解体工事や塗り替えの際の剥離作業で、塗膜が粉末状になり飛散すると、呼吸などにより人体内に吸引される可能性があります。このことより、平成26年5月に厚生労働省から「鉛等有害物を含有する塗料の剥離やかき落とし作業における労働者の健康障害防止について」の通達が出されています。この中で、「橋梁等建設物に塗布された塗料の剥離等作業を発注する者は、塗布されている塗料中の鉛やクロム等の有害物資の有無について把握している情報を施行者に伝えるほか、塗料中の有害物の調査やばく露防止対策について必要な経費等の配慮を行うこと」とされ、作業者の安全に対して配慮するよう指示されています。

 当社ではPCBやアスベストの分析に加え、塗膜中の有害物質の分析も行っております。身の回りで今回お話したことに関し、不安や疑問のある方は、まずは当社にご相談下さい。

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