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エコニュースVol.261

2015年03月01日

<海環境シリーズ Part14>

国内での海洋のエネルギー利用技術

株式会社エコニクス
山下 和則

 沖縄県久米島では2012年から海洋温度差発電(Ocean Thermal Energy Conversion (OTEC))実証事業が行われており、昨年6月に通電を開始して順調に稼働しているそうです。実証事業の様子は沖縄県海洋温度差発電実証設備HPで公開されており、昨年の6月にすでに見学者が2000人を達成するなど、関心の高さが伺えます。汲み上げた深層海水は、発電に利用した後も水質は変わらず水温も10~12℃程度と低温であるため、この冷熱を水産業、農業、空調等に複合利用することができます。これは、深層海水の複合利用(カスケード利用)という技術で、今後の研究の推進が期待されます。


図    深層海水の複合利用(カスケード利用)
(沖縄県海洋温度差発電実証設備HPより)

 一方、北海道でのポテンシャルが高い洋上風力発電設備については、発電施設設置に伴う魚類等への影響の知見が、我が国には少なく今後の調査データ等の積み重ねが必要です。欧米における洋上風力発電施設の魚類等への影響調査の事例では、人工礁や集魚効果、トロール漁業の漁獲圧力低減などのプラスの効果とともに、マイナス効果として施設に新たにやってきた種が新たな生息環境を作ることにより、それまでの生息環境や周りの環境に影響があるという点です。現在、経済産業省(福島県沖)と環境省(長崎県沖)で実証試験が行われており、その結果が待たれるところです。

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