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エコニュースVol.251

2014年05月01日

<大気環境シリーズ Part5>

PM2.5とは

株式会社エコニクス 環境事業部
生活環境チーム 田保 徹

 2013年、国内ではPM2.5(大気中に浮遊している2.5㎛(マイクロメートル)以下の小さな粒子)による大気汚染が大きな問題となりました。中国で発生した大規模な大気汚染が越境したことが要因のひとつとみられています。PM2.5には火山などからの自然由来のものもありますが、その大部分は化石燃料が燃焼して生じた粒子や、ガス状の大気汚染物質(硫黄酸化物SOx、窒素酸化物NOx、揮発性有機化合物VOCなど)が大気中で粒子に変換したものなど人工発生源由来のもので、自然由来の粒子より毒性が強いと考えられている成分が多く含まれています。
 従来、日本では1972年に浮遊粒子状物質(SPM:粒子径が10㎛以下の大気中に浮遊する微粒子)が大気汚染物質として環境基準が設定されています。しかし、アメリカでは1997年にPM2.5の大気汚染基準が設定されるなど、世界的に微小な浮遊粒子による健康影響が懸念されています。この粉塵を吸い込むと肺の奥や血管まで入り込み、ぜんそくや心臓疾患発症の危険性が高まりますので、対策としては外出を控える、細かな塵も通さないマスクをするなどしかありません。
 日本がPM2.5について環境基準を設定したのは2009年9月になってからです。ここでは1年平均値15㎍/㎥以下かつ1日平均値35㎍/㎥以下と定められました。さらに2013年2月には専門家会合でPM2.5による被害を防ぐための注意喚起に関する暫定的な指針が決定されました。1日平均値が70㎍/㎥を超える場合には「レベルII」として「不要不急の外出や屋外での長時間の激しい運動をできるだけ減らす」とされ、この注意喚起を発表する目安として午前5時~7時の間の1時間値が85㎍/㎥を超える場合には午前中の行動への注意喚起、午前5時~12時の間の1時間値が80㎍/㎥を超える場合には午後からの行動への注意喚起がなされます。
 中国からの越境汚染に対しては、国内法に基づく強制力のある措置の効果が期待できず、また汚染源の解明も不十分であるため、暫定的な指針に留まっているのが現状です。指針については今後も知見が得られれば適宜見直しを行うとしており、今後も動向を注視していく必要があります。

【参考資料】
現代用語の基礎知識2014(自由国民社)
環境省HP(http://www.env.go.jp/air/osen/pm/info.html

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