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エコニュースVol.060

1998年06月01日

水産・環境シリーズ Part1・海外編 その2

増養殖技術の開発

株式会社エコニクス
 取締役技術顧問 川村 一廣

 JICAが実施した「シロザケ孵化放流」は有名ですが、チリでは水産分野でもJICAやOFCF(海外漁業協力財団)による技術協力が行われてきました。これらの技術協力はチリの養殖業の発展に貢献してきました。JICAが1997年7月からスタートさせた「チリ貝類増養殖開発計画」についてその概要を紹介します。

1)実施機関 日本側:国際協力事業団、チリ側:チンキウエ公社・第10州政府
2)協力機関 1997年7月1日より2002年6月30日(5年間)
3)プロジェクトの目標
第10州を中心とする沿岸漁民および他の受益者に、貝類を主体とした有用底棲生物の増養殖技術を普及するために、現地に根ざした有用種の増養殖技術を開発することを目的とする。
4)協力活動内容
①選定された貝類(チリカキ・太平洋カキ・チリホタテガイ等)の種苗生産技術の研究開発
・天然採苗技術の研究・成熟、産卵、幼生飼育、料生物大量培養等の種苗生産技術の研究開発
・種苗生産方法に関するマニュアル作成
②選定された貝類の増養殖技術の研究開発
・増養殖環境条件に関する研究・効果的な養成方法の研究・養殖方法の関するマニュアル作成
・漁村調査・種苗放流に係わる基礎調査
③チンキウエ公社が開催する漁民講習会等に対する支援
5)日本側の対応
①専門家派遣:(長期)チームリーダー、業務調査、貝類種苗生産、貝類養殖、漁村調査 計5名
(短期)藻類培養、遺伝・育種等(年間2~3名×5年)
②研修員受入:貝類種苗生産、貝類養殖等(2~3名×5年)
③機材供与:種苗生産・養殖用資機材等
6)チリ側の対応
①要員の配置:各分野の研究者・技術者など
②施設:種苗センター、漁民訓練センター、試験養殖場、パイロットファーム等
③予算:プロジェクト運営費、供与機材の維持費、スタッフの人件費等

 日本とチリは大変遠く離れた国ですが、水産業の生産に関しては非常に共通した状況にあり、お互い協力しあって水産業の発展を目指すことが大切なことだと思います。

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