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エコニュースVol.210

2010年12月01日

<生物多様性シリーズ Part8>

COP10からつぎの1歩へ

株式会社エコニクス
マーケティング室 佐藤 裕一

 ご存じの方も多いと思いますが、去る10月18日から29日にかけて、名古屋において生物多様性条約第10回締約国会議(以下、COP10)が開催されました。新聞報道などでは、遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)交渉及び名古屋議定書の行方に注目が集まっていましたが、2020年に向けた目標を定めた愛知目標が採択された、次の10年に向けた歩みを一歩進めた会議でもありました。
 COP10では、IPBES(生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム、生物多様性版IPCC)の早期設立を検討するよう奨励する決定や、2011年から2020年までの地方自治体の生物多様性に関する行動計画を承認し、締約国や他の政府機関に対し、同計画の実施を奨励する決定なども採択されました。また、COP10に合わせて、日本経団連が中心となり、約400の企業、団体が参画した「生物多様性民間参画イニシアティブ」が設立されました。このような動きから、今後、国のみならず、研究機関、自治体、企業による取り組みの強化が求められることが考えられます。


民間参画パートナーシップHPより

 道内の動きを見ると、COP10に先立ち北海道によって「北海道生物多様性保全計画」が策定されたほか、黒松内町や礼文町では「生物多様性地域戦略」の策定に着手するなど、全国的に見ても先進的な取り組みが行われており、今後の動きに注目したいところです。
 一方で、生物多様性の保全に向けた取り組みの大半は、企業によるCSR(社会的責任)の面から取り組みやNPOによる取り組みなど、ボランタリーな活動に留まっているのが現状です。企業を巻き込んだ取り組みを本格化させていくためには、ボルヴィック社による「1L for 10L 」プログラムに代表されるPES(生態系サービスへの支払い)を奨励したり、生物多様性オフセットメカニズムを構築したりするなど、生物多様性の保全そのものがビジネスとして成り立つ仕組みを構築していく必要があるように感じています。
 今回開催されたCOP10を単なるお祭りに終わらすのではなく、これをきっかけとして、多様な生態系、種、遺伝子によって構成された生物多様性を保全し、次世代に受け継いでいくためには何ができるか、を考え行動していきたいですよね。

【参考情報~企業による取り組みの代表例~】
民間参画パートナーシップ
ボルヴィック
味の素
積水ハウス

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