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エコニュースVol.124

2003年10月01日

環境問題シリーズ Part2・子供番組と環境問題 その2

ヒーローたちは何と戦ってきたのか

株式会社エコニクス
 環境技術部 水域環境グループ 大湊 航一

 前回は「公害社会」に警鐘を鳴らすテーマが盛り込まれた「宇宙猿人ゴリ」を紹介しましたが、ヒトが自然から離れていくことに対して疑問を投げかける姿勢は、その後の子供番組にしっかりと継承されていきました。例えば機械化社会を批判した「スーパーロボット レッドバロン」(昭和48年)、コンピューターへの依存過多を危惧した「大鉄人17」(昭和52年)などです。

 工場でのロボット導入やインターネット、ITが進歩した現在では、こういったテーマは滑稽で幼稚に映るかもしれませんが、自然の中で伸び伸びと成長して欲しいと願った当時の大人たちの思いは、現在の環境教育に臨む姿勢と同一なのではないかと思えます。

 それでは野生動物の保護といったテーマについてはどうでしょうか。我が国は大正7年に第3次狩猟法(現在の鳥獣保護狩猟法)が施行されていましたが、動物を保護しようとする気運が高まってきたのは、昭和48年のワシントン条約採択(日本の加盟は55年)や、動物の愛護及び管理に関する法律の制定以降であり、昭和50年代前半までが特に顕著でした。

 昭和51年10月1日にNET系で放映が開始された「恐竜探検隊ボーンフリー」は、ミニチュアを用いたモデルアニメーションとセルアニメを融合するという前代未聞の手法が話題となった作品ですが、当時の恐竜ブームと合わせてやはり動物保護がテーマとなりました。未来において再び出現した恐竜たちを、気候の急変や地震などの天災から守るために活躍するボーンフリー号。彼らの最大の敵は、悲しいことに同じ人間である悪質な密猟者でした。

 自然の保全、再生を巡る構図が複雑化してきた現在では、子供番組にこれらのテーマを盛り込むことは困難になりつつあります。密猟や外国産ペットの放逐といったヒトの行為の是非を問い、子供たちにこれぞと伝える役目は、テレビの中のヒーローではなく、身近な大人たちが負っているということを自覚しなければならないと思います。

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