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エコニュースVol.128

2004年02月01日

大気環境シリーズ Part1

大気汚染は減少したが...

株式会社エコニクス
 環境技術部 生活環境グループ 中山 英雄

 「本日○○時○○分に光化学スモッグ警報が発令されました。外出を控えるようにして下さい」私が子供の頃、晴れた夏の日の午後にこんな町内放送がよく流れていました。大きな工場地帯もなく、幹線道路も走っていない田舎町での事です。燃料使用基準の強化や自動車排ガスの排出基準の強化などが功を奏し、日本経済が高度成長を遂げていた時代から比べたら、大気汚染はかなり改善されていると言って良いでしょう。

 大気汚染原因となる硫黄酸化物、窒素酸化物、ばいじん、そして近年問題になっているダイオキシンなども、物質の燃焼によって生じるものがほとんどです。したがって燃やすモノ(燃料など)や燃やし方を改善することにより低減することができます。特に、硫黄酸化物やダイオキシンは燃やすモノの中にそれらを発生する原因物質が含まれていなければ、発生は有り得ません。硫黄酸化物については、近年の燃料脱硫技術の向上により、著しく排出量が少なくなっています。

 しかし、窒素酸化物やばいじん対策は困難です。これらは燃料の組成が良くても燃焼管理が悪ければ多量に発生します。これらは一般家庭のストーブ、ボイラーも含め、法規制が科せられていないところからも高濃度で排出される可能性があるのです。

 法規制といえば、近年大きな社会問題となっている地球温暖化の原因物質、二酸化炭素は今のところ規制がありません。一般的な燃料を燃焼させれば必ず発生しますし、排ガス中から二酸化炭素を取り除くことも現段階では不可能な状況ですので、規制してもそれに対処する方法がないのです。現在考えられる唯一の二酸化炭素排出抑制は、燃料の使用量を減らすことです。炭素を燃焼しなければ二酸化炭素が発生しないのですから、確実に排出を抑制することができます。困難ですが他に方法が無い以上、私たちはこの方法を選択するしかありません。これを実行しなければ大気中の二酸化炭素濃度は確実に増え続けていくのですから。

 今までは技術により便利さを犠牲にすることなく、大気汚染に対処してきましたが、もうそろそろ限界かもしれません。清浄な環境を取り戻すために個人個人が犠牲を払わなくてはならない時期が来たのです。

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