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エコニュースVol.135

2004年09月01日

景観シリーズ Part2

景観保全を巡るバランスの在り方

株式会社エコニクス
 営業企画部 営業企画チーム 外崎 秀和

 前回お伝えした景観緑三法の成立以前にも、景観の保護を目的とした法律は存在しました。自然公園法、都市計画法、都市公園法、文化財保護法、農地法、さらに各自治体の自然環境保護条例、景観保護条例などです。

 しかし、これらが制定された当時は「景観」=「景色や眺望」というイメージが強く、例えば自然公園法(昭和32年6月)による保護の対象は「日本を代表する自然の風景地」となっていました。自然公園の成立により、その地域の生態系も保護されてきた訳ですが、「風景地」と呼び表されているとおり、当時の景観の保護対策は地域の外観や眺望の維持に傾倒したややバランスの悪い内容だったことになります。

 「自然景観」はその地域の地形や植生から成る眺望として表れますが、これを保全していくためには、数年から数十年後に表れる生態系の変遷を見越した検討が必要です。さらに畑地や田園を含む「農村景観」、道路や公園を含む「市街地景観」を対象とした場合には、その地域の生活様式、歴史と文化、周辺の自然環境との調和といった様々な要素についても考えていく必要があります。

 つまり、景観を保全していくためには、そこに生息する生物の生息・生育状況を把握すると同時に、地域空間の在り方や、地域の特徴とその背景といった視点から様々な意見を集約することが重要であるということです。

 こういった意見の集約は容易な作業ではなく、企業や団体はもちろんのこと、自治体や国であったとしても、それぞれが単体でこなせるものではありません。あらゆるレベルで意見のやり取りがあり、それらがバランスよく混合・洗練され、対象地域に示されることが求められます。

 よりよい景観の保全は、その地域を構成する様々な要素のバランスを保つことで行われます。我々コンサルタント会社に求められているものも、「地域に生活する ヒト」と「景観を整備するヒト」の間に立つ「第三者として見つめるヒト」としてのバランス感覚なのではないかと思います。

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