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エコニュースVol.230

2012年08月01日

<陸の生き物シリーズ Part16>

スズメバチとの付き合い方

株式会社エコニクス
環境事業部 陸域環境チーム 菊地 那樹

  スズメバチの仲間はハチ目スズメバチ科スズメバチ亜科に属しており、北海道には、大型種であるスズメバチ属5種、小型種であるクロスズメバチ属5種、ホオナガスズメバチ属4種の計14種が分布しています。
 スズメバチは森林内や都市の生活の中において、刺傷事故で問題となり、「害虫」として扱われることの多い昆虫です。元は森林内を主な生息地にする昆虫であり、人とのかかわりも多くありませんでした。しかし、森林が減少するにつれ、都市環境に対し適応能力をもち、順応した種が現れ、人と接する機会も増えています。北海道各地域においても、1980年代より都市郊外に多発し、その防除が問題とされています。

      
   都市環境に適応した代表種である「コガタスズメバチ」         コガタスズメバチの巣             

   では、スズメバチの刺傷事故を減らすにはどうしたらよいのでしょうか。一般的に駆除がよく挙げられますが、スズメバチは樹木を食い荒らす害虫を大量に捕食している重要な益虫でもあります。スズメバチがいなくなればそれらの害虫が増加し、別の問題を引き起こすこととなります。
 スズメバチは人にとって益虫、害虫の両方の顔を持っており、生態系の中でも非常に強い影響力をもっています。刺傷事故の危険性を考えれば放置しておくこともできず、生態系への影響を考えると積極的に駆除することもできない扱いにくい昆虫といえます。今後は上手なスズメバチとの付き合い方を模索する必要性があるのではないでしょうか。

写真撮影者 : 菊地

<引用文献>
1. 松浦誠・山根正気. 1984. スズメバチ類の比較行動学. 初版. 1-428pp. 北海道大学図書刊行会.
2. 松浦誠. 2004. 都市における社会性ハチ類の生態と防除 Ⅳ.スズメバチ類とアシナガバチ類の発生状況. ミツバチ科学. 25(1):11-24.
3. 松浦誠. 2004. 都市における社会性ハチ類の生態と防除 Ⅴ.スズメバチの都市における生活史と適応. ミツバチ科学 . 25(2):63-75.
4. 小野正人. 1997. スズメバチの科学. 初版. 1-174pp. 海游舎.

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