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エコニュースVol.140

2005年02月01日

男はつらいよ お魚シリーズ Part3

男はつらいよ サクラマス編(1) 

株式会社エコニクス
 環境事業部 取締役部長 上田 重貴

 サクラマス(Oncorhynchus masou masou)は生まれてから1年間は河川で生活しますが、一部を除いてほとんどが海に降ります。河川に残留したものはヤマメ(北海道ではヤマベ)と呼ばれ渓流釣りの対象として人気が高い魚です。

 海に降ったサクラマスは1年間後に、北海道では桜が咲く時期に産卵のために河川に遡上してきます(なのでサクラマスといわれています)。産卵の秋までは淵や倒木の陰で成熟するまでを過ごします。遡上直後のサクラマスの体は神々しくも銀色にまぶしく輝き、警戒心が強く動きも早くてじっくりと拝む事はなかなかできません。(写真1)

 夏になると銀色の肌に婚姻色が出始め、秋の産卵期には全体的に黒ずんで桜色の婚姻色が出るようになります。雄は鼻先が曲り凶暴な顔つきに変わり、中には背中が出っ張るものもいます。一方雌にも婚姻色は出ますが雄よりは明るい色をしており、尻鰭の先が伸びてきます。体の準備が整うといよいよ産卵です。

 産卵行動中の雄は産卵まで雌の傍らに寄り添い、雌の体ににじり寄ってからだを震わせて産卵を促すようにしたり、卵を狙うハナカジカなどの他の魚を追い払ったり、他の雄を追い払ったりと大忙しです。雌は時々尻鰭の先で産卵床の出来具合をチェックしながら尾鰭で河床を掘ります。(写真2)

 ここでペアの雌とめでたく産卵とあいなるはずなのですが、より大型の強い雄が現れると、これまでの雄は強い雄に追い払われてしまうようなことがよくあります。雌はあれだけ尽くしてくれた雄を捨てて、新たな雄に乗り換えて産卵するのでした。追い出された雄は産卵の瞬間に後から割り込もうと試みましたが失敗しました。(写真3)やっぱり雌は黒くて大きい奴が好きなんだ!

 弱い男は辛いよね サクラマス君!

 さてこの弱いサクラマスの雄はその後どうなったのでしょうか・・・? (次号に続く)

 

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