エコニュース

  • エコニュース
  • 藻場通信
  • エコ森林通信
  • 洋上風力通信

エコニュースVol.146

2005年08月01日

環境問題シリーズ Part8

北風と太陽の勝負

株式会社エコニクス 
 環境事業部 調査・計画チーム 大湊 航一

 イソップ寓話における有名なエピソードのひとつに「北風と太陽」があります。北風と太陽が力比べをしようとし、旅人の上着を脱がした方が勝ちという勝負を始めるのですが、結果はご存知のとおり暑さで上着を脱がせた太陽の勝ちとなります。このエピソードは物事に対して厳格に臨む態度と、寛大に対応する態度の対比を表している訳ですが、何よりも対照的なそのニュアンスを具現するキャラクターとして風と太陽を持ってきたというセンスが絶妙です。

 同様に、地球の温暖化対策やエネルギー供給の問題で必ずと言っていいほど挙がるキーワードに風力発電と太陽光発電があります。風と太陽、両者ともに二酸化炭素などの温暖化ガスや有害物質の発生がないクリーンで無限のエネルギーですが、ここでも両者はなかなか面白い勝負をしています。

 風力発電は1891年にデンマークで開発され、その後の各国の研究において大型化し、現在は風力エネルギーの約40%を電気に変換するタイプが主流になっています。現在、日本における風力発電の総発電量は約92万kW(2004年)です。一方、太陽電池は1954年にアメリカで開発されました。当時は人工衛星などに搭載することを前提としていましたが、技術の向上と低コスト化によって一般に普及され、近年普及しているタイプでは太陽光の15%を電気に交換できるようになっています。日本における太陽光発電の総発電量は86万kW(2003年)に達し、これは世界一の導入量を誇ります。寓話と同じく、風は先攻、太陽は後攻で勝負を挑んだ格好になりますが、現在のところ勝負は拮抗しているようです。

 しかし、これらのエネルギーの導入状況も日本国内の総発電量9,240億kWと比較すると1%にも達していないのが現状です。風と太陽がどんなに頑張っても、地球が着てしまった「温暖化ガス」という上着を脱がすことはできません。温暖化ガスの発生を防ぎ、植物を増やしてガスを吸収させるという行為は、やはり人間自身の「手」によってのみ可能な行為であると考えます。この点に関しては、我々自身が物事に対して厳格に臨む必要がある訳です。

もどる