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エコニュースVol.329

2020年11月01日

ブルーカーボンによる地球温暖化防止対策

株式会社エコニクス 電力事業部
 泊発電所チーム 山岸 光耀

 

 ここ数十年の間、私たちは地球温暖化や海洋プラスチックごみの問題など、様々な環境問題に直面しており、対策を講じています。近年、温暖化防止対策の1つとして着目されているのが、“ブルーカーボン”です。ブルーカーボンとは、2009年に国連環境計画(UNEP)が提唱したもので、海洋生物によって大気中の二酸化炭素が取り込まれ、海域で貯留された炭素のことを示します。対して、森林など陸域で貯留された炭素は“グリーンカーボン”と呼ばれています。

 国内では、国レベルの取り組み方を検討するため、国土交通省港湾局を事務局として、有識者及び関係省庁で構成する「地球温暖化防止に貢献するブルーカーボンの役割に関する検討会」が、2019年6月にスタートしています。また、横浜市では2011年3月より、企業を含む産学官が一体となった「横浜ブルーカーボン事業」をスタートし、イベント開催のほか、カーボン・オフセットに取り組んでいます。

 ブルーカーボンの可能性を、桑江((国研)海上・港湾・航空技術研究所港湾空港技術研究所)は、『海域が炭素貯蔵庫として特に重要なのは、海底泥中に貯留されたブルーカーボンが長期間(数千年程度)分解されずに貯留される点である。これは、海底泥内が基本的に無酸素状態にあり、バクテリアによる有機物の分解が抑制されるためである。海底には年間1.9億~2.4億トンの炭素が新たに埋没し貯留されると推定されている。驚きなのは、海洋全体の面積の1%にも満たない浅海域(海底まで光が届くエリア)が、貯留される炭素全体の約73~79%を占めているとされている点である』と述べています(IEEI「ブルーカーボンとは」http://ieei.or.jp/2019/05/special201608027/,2020年10月20日)。

 グリーンカーボンを担う陸上の森林のように、浅海域でブルーカーボンを担う生物として海藻類があげられます。日本の海岸線の総延長は世界第6位で水深20m以浅の面積は約300万haです。沿岸域にはコンブやワカメ、アマモ類の藻場が分布しており、日本沿岸域の藻場面積は20万ha(1990年代)とされていますので、ブルーカーボン効果が期待されます。

 エコニュースVol.309(2019年3月)では“持続可能な開発目標(SDGs)”についてご紹介しましたが、その内の17の大きな目標には、“気候変動に具体的な対策を”や“海の豊かさを守ろう”といった内容が含まれています。弊社では、エコニュースVol.328(2020年10月)で紹介している通り、藻場の保全・造成を行っています。本来生態系が持つ働きの回復と温暖化対策の両立に繋がると考え、力を入れて取り組んでいます。

 

写真 藻場状況の例(筆者撮影)

 

 世界的にもブルーカーボンへの関心は高まっており、今後も対策は加速していくと考えられますので、弊社においても、新しい取り組みにチャレンジしながら、様々な取り組みを行っていきたいと考えています。

 

“ブルーカーボン生態系 海洋の地球温暖化対策 動き始める COP25は’Blue COP’に”株式会社グリーンプロダクション.

https://greenproduction.co.jp/archives/530

“ブルーカーボンとは”国際環境経済研究所.

http://ieei.or.jp/2019/05/special201608027/

“管轄海域情報~日本の領海~”海上保安庁.

https://www1.kaiho.mlit.go.jp/JODC/ryokai/ryokai_setsuzoku.html

“横浜ブルーカーボン事業 YOKOHAMA BLUE CARBON”横浜市.

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/ondanka/etc/ygv/bluecarbon.html

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