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エコニュースVol.319

2020年01月01日

海洋観測にIoT技術を

株式会社エコニクス 環境戦略部
鹿糠 幸雄

 

 今年は東京オリンピックが開催される年ですが、前回の東京オリンピックが開催されたのは1964年、今から56年前のことです。当時と比べれば、現代の暮らしは大きく変わったといえると思います。特に情報社会と言われるように、インターネットの普及により多くの情報が簡単に手に入るようになり、身の回りにあふれています。わからないことがあれば、検索サイトを利用することで簡単に情報を得ることができます。移動通信の技術も向上し、多くの人がスマートフォンを利用してどこに居ても情報を閲覧・発信することができるようになりました。

 また、身の回りの様々な「もの」がネットワークにつながり、離れたところから操作したり、様子を知ることができる、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)技術が発達し、私たちの暮らしが更に豊かになろうとしています。例えば、外出先から自宅のエアコンのスイッチを入れ、帰宅したときには快適な空間が待っていることも現実となっています。

今年は、第5世代移動通信システム「5G」のサービスが提供される予定となっており、私たちの暮らしが劇的に変わると言われています。5Gは、「高速・大容量」、「低遅延」、「多数端末との接続」という特徴を持っており、4K/8Kといった高品質の映像やAR/VRを活用した臨場感のある映像の伝送、自動運転サポートや遠隔医療などを実現するものと期待されています。これらの技術は、人が居るところを中心にインフラ整備が進み、十分な電源が確保されているなど限られた環境・範囲で利用されることを前提としたネットワークのため、高い通信コストを支払う必要があります。

 一方、環境のモニタリング(温度、湿度、気圧、照度、騒音、その他)のように、ごく小さなデータ量を現在の無線通信ネットワークでカバーできていない山間部、海上等で、頻繁に通信する必要がないケースも多く考えられます。これに対応する技術として注目されているのが、LPWA(Low Power Wide Area:低消費電力で低速・長距離伝送が可能な仕組み)で、IoTの構成要素の1つとして重要視されています。

 LPWAは、「長距離通信」、「低消費電力」、「低通信速度」の3つの特徴があります。私たちがよく利用するWi-Fiの転送速度は、最大およそ54Mbpsと高速な通信が可能ですが、通信距離は100~300メートル程度です。一方、LPWAの転送速度は最大およそ200bpsと低速ですが、通信距離は最大50キロメートル程度のものもあります。そして、電池1個で年単位の駆動が可能なほど省電力のものもあります。先に紹介した大容量・高速通信の仕組みと融合することで、さらなるIoT技術の発展が期待できます。

 当社では現在、このLPWAによるデータ伝送を利用し、太陽電池を電源とした24時間観測可能な海洋観測ブイを開発中です。IoTを一次産業に応用して、地域の活性化に役立ってもらえればと考えています。

 

一次産業でのIoT活用モデル
“総務省IoTサービス創出支援事業~海洋ビッグデータを活用したスマート漁業モデル事業~”.総務省.より引用
< https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/local_support/ict/jirei/pdf/2017_013_2.pdf >

 

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