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エコニュースVol.290

2017年08月01日

<地球環境シリーズ Part12>

自然や文化を守るための活動

株式会社エコニクス 泊事業部
泊担当チーム 藪内 哲郎

 先月の7月9日、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」※1を世界文化遺産に登録したことがニュースで報じられましたが、皆さんの記憶にもまだ新しいのではないかと思います。
 そこで、多くの人に親しまれている、貴重な地域を保全・保護する制度というのは、いったいどれくらいあるのかと思い、今回調べましたので、いくつかご紹介していきたいと思います。少し堅い話になるかもしれませんがお付き合いください。

 まず、今回話題となっている『世界遺産』※2は、世界遺産条約に基づき、ユネスコの世界遺産委員会が審査をしており、顕著な普遍的価値を有し、将来にわたり保全すべき人類共通の遺産を登録するものです。
 世界遺産には、世界文化遺産と世界自然遺産がありますが、前者はICOMOS(国際記念物遺跡会議)、後者はIUCN(国際自然保護連合)と呼ばれる2つの専門機関が、世界遺産条約を締結した各国から推薦された候補地を調査し、世界遺産委員会へ調査結果の報告をおこない、世界遺産登録への可否が審査されています。
 国内では1993年に登録された法隆寺(文化)を始め、屋久島(自然)、知床(自然)、富士箱根伊豆(文化)等の計21件が世界自然・文化遺産に登録されています(今回の宗像・沖ノ島含む)。

 次に、日本国内において43地域が指定されている『ジオパーク(大地の公園)※3があります。このジオパークは、日本ジオパークネットワークが運営していましたが、2015年にはユネスコの正式プログラムとなり、『ユネスコ世界ジオパーク』として洞爺湖有珠山を始めとする8地域が認定されています。
 人類共通の遺産を保護することを主目的として作られた世界遺産に対して、ジオパークは、「大地の遺産」(主に地質から始まり、付随する様々な自然からなる遺産)を保護しつつ、教育活動や科学の振興、さらには大地の遺産を利用した、観光による地域活性化を目的としているという違いがあります。
 このジオパークに認定されるためには、その地域の団体が意見書等をまとめ、JGC(日本ジオパーク委員会)においてプレゼンテーションの実施、そして現地調査による審査を受けます。この審査を通過すると、日本ジオパークとして認定されるようになり、ジオパークとして様々な活動を行うことが許されます。
 さらに世界ジオパークとしての認定を受けるためには、日本ジオパークとしての活動実績を十分に積み、JGC(日本ジオパーク委員会)の推薦を受けることで、世界ジオパーク委員会(GGN)の審査を受けることができます。審査内容は、地球科学的な観点での地域の重要性や公園としての整備状況、地域を資源として活用するための体制についてであり、書類審査と現地調査により行われます。この審査に合格することによって、世界ジオパークとして活動が出来るようになります。
 つまりは、世界ジオパークに認定されると、ユネスコのお墨付きを受けた上で活動ができるようになり、国外にも認知度を上げることができるメリットがあります。
 しかし、持続可能な方法で大地の遺産を保護し、地域を活性化させることを目的としているので、4年に一度に再審査を受ける必要があり、ジオパークとしての維持と 更なる向上が求められています。

 そして3つめに、国や地方自治体といった行政が主導となり、世界最大のカルデラや雄大な草原を有する阿蘇山を含む火山群、固有種が集中して分布する優れた自然の風景地である小笠原諸島などについて、保護・管理することを目的として、『国立公園』『国定公園』※4,5『都道府県立自然公園』※6を指定しています。
 国立公園は、自然公園法のもとで我が国を代表する優れた自然の景観を有し、世界的にも誇れる傑出した自然の風景であることが条件となり、その条件に合うか協議を重ねたうえで指定された区域のことです。道内では大雪山国立公園や阿寒国立公園等があり、全国で計33ヵ所が指定されています。
 国定公園は、国立公園とまではいかないものの、国立公園に準じて我が国を代表する優れた自然の景観を有するとして指定された区域で、筆者が勤務している泊事業所のある積丹半島もニセコ積丹小樽海岸国定公園に指定されおり、全国で56ヵ所が指定されています。都道府県立自然公園は、国立公園や国定公園とは多少異なり、各都道府県を代表する傑出した自然の風景を有するとして指定された区域で、各都道府県が保護・管理を行っています。弊社、札幌本社の裏手に広がる野幌森林公園は北海道立自然公園として指定されており、自然環境の保全とともに、自然観察、野外レクリエーション等の自然と親しむ催しがたくさん行われています。

 

世界遺産・ジオパーク・国立公園のちがい

 

 このほかにも、国や都道府県が指定をして、狩猟や開発行為を規制する鳥獣保護区や自然保全地域を設定していたり、湿原やそこに生息する動植物の保全・再生を目指すラムサール条約湿地など、数多くの自然を守るための地域指定があります。今回は長くなるので説明は割愛させて頂きますが、興味をお持ちの方は最後のリンクを参照願います。

 このように、日本国内だけでも大切な自然を保全・保護するために、様々な組織の下で指定・管理されています。こういった地域には、ビジターセンターやジオサイト、ネイチャーセンターいった施設を設けているところが多く、その地域の自然の特徴や保護の重要性、人と自然との関わり、そして文化といったことが分かりやすく、そして楽しく学べる工夫がされています。
 以前、筆者が訪ねたことのある支笏湖畔にある支笏湖ビジターセンター※6は、ヒグマの剥製やヒメマスの水槽展示といった、博物館や水族館の要素も施設内に盛り込まれており、家族でも楽しめるような施設となっていました。しかも入場料無料となっていますので、家族旅行や環境教育の場にお勧めとなっています!
 私は登山が趣味なので、次はジオパークに指定されているアポイ岳や阿寒国立公園に指定されている雌阿寒岳周辺への登山旅行を計画中です。

 


阿寒国立公園のオンネトー湖 (左:雌阿寒岳 右:阿寒富士)

 

 最後に、世界遺産や国立公園に訪れ、美しい自然を楽しんだり、施設にて学ぶことにより、そこで暮らす地域の人々と自然との関わり、バランスのとれた社会活動と保全の進める方など、まずは『知る』ということが重要であり、一人でも多くの方たちが自然に対して興味や関心を持って頂けたらと思います。

 

 

<参考文献>

※1 “「宗像・沖ノ島と関連遺産群」世界遺産推進会議”.福岡県人づくり・県民生活部文化振興課世界遺産登録推進室.
   < http://www.okinoshima-heritage.jp/ >

※2 “世界遺産とは”.日本ユネスコ協会連盟.
   < http://unesco.or.jp/isan/about/ >

※3 “ジオパークとは”.日本ジオパークネットワーク.
   < http://geopark.jp/ >

※4 “日本の国立公園”.環境省.
   < https://www.env.go.jp/park/index.html >

※5 “自然公園法”.環境省.
   < http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO161.html >

※6 “自然公園のしくみ(自然環境課)”.北海道.
   < http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/kouen/setup.htm >

※7 “支笏湖ビジターセンター”.環境省 支笏湖ビジターセンター.
   < http://shikotsukovc.sakura.ne.jp/ >

※8 “自然環境保全地域”.環境省.
   < https://www.env.go.jp/nature/hozen/about.html >

※9 “鳥獣保護区の概要”.環境省 野生鳥獣の保護及び管理.
   < https://www.env.go.jp/nature/choju/area/area1.html >

※10 “ラムサール条約と条約湿地”.環境省.
   < http://www.env.go.jp/nature/ramsar/conv/2-3.html >

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