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エコニュースVol.157

2006年07月01日

食環境シリーズ Part4

ポジティブリスト制度を考える

株式会社エコニクス 
 環境事業部 江本 匡

 この制度は、国産、輸入を問わず生鮮食品、加工食品を含めて全ての食品が対象となるので、生産者、製造者、流通業者、販売者それぞれに影響を与えることが予想されます。

 基準以上の農薬等(農薬、飼料添加物、動物用医薬品)を含んでいる食品を販売することが禁止(店頭に並んでいた場合には回収も)されるので、販売者が生産者や製造者、また輸入品については流通業者などに商品が基準を満たしていることを要求しても不思議ではないと思います。しかし、全ての農薬について分析することはその費用負担や時間の問題から現実性はありません。また、法律でも分析を義務化しておりませんので、どのような方法で基準を守るかについては各生産者や事業者に任せられています。厚生労働省で出しているQ&A(※)では、信頼できる事業者と取引をする、使用される可能性のある農薬等の種類や方法、残留基準違反事例の有無などを確認する、必要に応じて残留状況について分析する、などの対応方法が記載されております。

 一方、国内流通食品の監視は、各都道府県等の「食品衛生監視指導計画」、輸入食品については検疫所の「輸入食品監視指導計画」によって、定められた対象食品や頻度で実施されます。

 しかし、消費者の安全な食品へのニーズの高まりにより、生産者の顔が見える野菜などを独自ブランドとしている大手スーパーでは、生産農家に対して使用する農薬の事前取り決めや、農薬の使用履歴の提出、また隣接農地での散布農薬のドリフト(飛散)防止策の検証などを行っているようです。輸入野菜については、農薬の使用履歴を記録した栽培履歴作成の義務付けや生産国への栽培技術指導を実施するなどでリスク低減の努力をしているところもあります。

 それでも、もし基準値を超える農薬が検出された場合のイメージダウンを避けるため、コストがかかっても自主検査を行い、安全に万全を期する必要があると考えている企業も多いようです。

 これは、加工食品の製造者にとっても同様であり、使用する原材料の安全性の確保や加工工程上での薬品類の混入防止という課題を克服する必要があります。

 いずれにしても、詳細な取り決めがない状態で、食の安全を守るために生産者などにしわ寄せがいく事が心配されます。

 一方、全ての食品が対象となるため、これまでほとんど農薬等とは無関係であった天然魚、コンブなどの海藻類も対象となります。農薬等による河川汚染や海洋汚染などの影響が出なければよいのですが、これから考えていく必要があるのではないでしょうか。

 日本の食料基地である北海道は、その冷涼な気候のため本州に比べて農薬の使用量が少ないといわれておりますが、全国に、より安全な食品を提供するために生産者から販売者までがリスクとコストを分散して、ポジティブリスト制度に取組む必要がありそうです。我々消費者も彼らをコストでサポートすることを容認してもいいのではないでしょうか。

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