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エコニュースVol.001

1993年07月01日

ウニシリーズ Part1・ウニの生態について その1

ウニの口はギリシャの提灯?

株式会社エコニクス
 顧問 富士 昭

 ウニ類の現生種は約850種と言われており、それらの分布は北極から南極までに及び、潮下帯上部のような浅海から数千メートルという深海にまでも生息しています。
日本と同じように地中海地方の人々も古くから珍重し、フランスやイタリアでは生殖巣(普通、身といわれているところ)を取り出してレモン汁をかけて食べています。古代ギルシャやローマの人々の宴卓を賑わしていたことはポンペイの遺跡からのウニ殻の出土でよく知られており、そのためウニについての生物学も古くから関心がもたれてきました。
体の下側中央にある口器は、形が古代ギルシャの堤灯に似ているために当時の硯学アリストテレス(紀元前384-322年)により「アリストテレスの堤灯」と名付けられ、現在でも生物学的用語として使用されています。日本周辺からは約40種のウニ類が知られていますが産業種として漁獲されているのは北方種のエゾバフンウニ、キタムラサキウニ、本州以南に生息しているバフンウニ、ムラサキウニ、アカウニの5種で、日本でのウニ生産量の70%は北方種で占められています。これらの種は岩陰や岩の亀裂部を棲み場とし、夜間に出歩いて海藻類を摂食する夜行性の日周期行動をします。ここ30年ぐらいから日本をはじめカナダ、アメリカ、イギリスなどの諸国ではウニの摂食が大型海藻群落の衰退をもたらす「磯焼け」の原因となっているとしてウニ類の生態に焦点が当てられてきました。
現在、北海道ではウニ類とコンブ群落の共存を目指してウニ類の適正生息量など「食う側と食われる側」との数量変動の関連が研究されていますので近い将来「豊かな岩礁域の造成」が実現されることでしょう。

 

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