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エコニュースVol.156

2006年06月01日

食環境シリーズ Part3

残留農薬等の新しい制度が始まりました

 株式会社エコニクス 
 環境事業部 江本 匡

 5月29日より食品中に残留する農薬等(農薬、飼料添加物、動物用医薬品)の新しい制度(ポジティブリスト制度)が始まりました。本制度について紹介いたします。

 これは、平成15年の食品衛生法改正に基づくもので、一定量を超える農薬等が残留する食品の販売等を原則禁止する制度です。

 「ポジティブリスト制度」とは、全てのものを原則禁止した状態で、使用、残留を認めるものについてリスト化する制度です。逆に原則規制のない状態で、規制するものをリスト化した制度を「ネガティブリスト制度」と呼びます。

 これまでは、残留基準が設定されている250種類の農薬と33種類の動物用医薬品について、基準を超えた食品の販売等が禁止できました。しかし残留基準が設定されていない農薬等が食品から検出されても、その食品の販売等を禁止する措置を行うことができませんでした。

 今回、ポジティブリスト制度では、原則、すべての農薬等について、残留基準(一律基準含む)を設定し、この基準を超えて残留する食品の販売等の禁止を行うことができます。一部、人への影響がないということで65種類の農薬等がポジティブリストの対象外となりましたが、残留基準が定められた農薬等は799種類になりました。これ以外のものについては一律基準(0.01ppm)が設定されました(下図を参照)。

 
図 ポジティブリストの概要

 残留基準は、これまでに定められていた農薬等については変更ありませんが、新たに定められたものは農薬の登録保留基準、コーデックス基準や外国の基準等を元に定められました。一律基準は専門家により国内外のさまざまな情報を検討した結果、決定されたものです。

 また、対象となる食品は国産品、輸入品を問わず全ての生鮮食品および加工食品となりました。ただし、加工食品の場合は原材料が残留基準値未満であれば加工食品自体の農薬等の残留値によらず、基準をクリアしたものとして取り扱われます。

 厚生労働省や農林水産省では残留農薬に関するこれまでの経緯より農薬等の使用基準を守っていれば、残留基準を超えることはないとしております。また、本制度は食品中の農薬等の検査や検査結果の提出を義務づけるものではありません。しかし、本制度による様々な問題が発生することが予想されます。次回はポジティブリスト制度が抱える問題点について考えてみたいと思います。

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