エコニュース

  • エコニュース
  • 藻場通信
  • エコ森林通信
  • 洋上風力通信

エコニュースVol.172

2007年10月01日

<海環境シリーズ Part4>

海洋基本法への期待!

株式会社エコニクス
環境事業部 小山 康吉

 海洋基本法では、「海洋の開発・利用と環境保全との調和」「海洋の安全の確保」「科学的知見の充実」「海洋産業の健全な発展」「海洋の総合的管理」「国際的協調」を基本理念とし、政府が海洋に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため海洋基本計画を定め、内閣に置かれる総合海洋政策本部は海洋政策を集中的かつ総合的に推進することとされています。この海洋基本法の成立は、わが国としては長年の課題であったもので、これにより海洋立国としてやっとその第一歩を踏み出したこととなります。
 海洋基本法がつくられた背景としては、1994年11月に国連海洋法条約(海洋法に関する国際連合条約)が発効され、国際的海上交通の自由、領海の規定、排他的経済水域の設定とその中の資源の利用、海洋環境の保護について国家の権利と義務の明確化など、海洋の保護と有効利用を目的として海洋の法秩序が定められたことにありました。これを受け批准した各国では国内法および体制の整備が進められたという訳です。
 ただ、日本における法および体制の整備は進まず、近隣のアジア諸国より出遅れてしまった結果、領海問題やそれに伴う資源問題など、様々な外交問題が浮き彫りとなり、新聞等のメディアでも大々的に取り上げられました。なぜ日本が対応に遅れてしまったかというと、その一つに日本は海に関係する省庁が多く、それに伴い関係法規制が多数存在し、その調整を行うのが一筋縄ではいかなかったこともあり、最終的には議員立法という形で成立しました。
 その海洋基本法は、首相を本部長とする総合海洋政策本部の設置、海洋政策の基本方針を盛り込んだ海洋基本計画の策定など、これからの動向が注目されるわけですが、上述した国際問題への対応が優先され、当面の目的として領海・海洋資源などの権益の保護といったことがどうも先行されそうな感じがします。
 しかし、国家の基本政策として体系的に海洋政策を位置付けることとなり、基本理念の中に「海洋の開発・利用と環境保全との調和」「科学的知見の充実」「海洋の総合的管理」ということが盛り込まれていますので、権益保護や開発といったことだけに留まらず、本来の目的に向けた動きになることを期待しております。

  日本は四方を海に囲まれ、これまで海から沢山の恵みを授かっていたわけですが、普段食べている魚の生態ですら未だ解明されていなかったり、その生息場の海洋環境については判らないことが多いのが現状です。これを契機に海洋における調査・研究が活発化され、徐々に多くのことが解明され、その情報が共有・活用されていくことにより、社会が大きく発展することと思われます。
 当社は、陸域~河川~海域をフィールドとし、業務などを通じ自然に触れ合う多くの機会に恵まれております。これらの機会を大切にし、環境ナビゲーション企業として環境の保全や社会の発展にお役に立てるように日々頑張らねばと思うしだいです。

もどる