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エコニュースVol.050

1997年08月01日

陸の生き物シリーズ Part2

死因のトップは交通事故!!

株式会社エコニクス
 環境技術部 陸域環境グループ 一北 民郎

 北海道の道路といえば、どこまで行っても真直ぐで周辺に緑が多く気持ちの良いものです。

 しかし、ふと目を転じると、道路の脇にカラスの死体があったり、市街地では車に轢かれたネコが道路の中央に横たわっていたり、市街地を少し離れればキツネが道路に出てきたり、車に轢かれているなど、意外と身近に動物の交通事故死を見かけます。

 しかしながら、どれ位の数の野生動物が交通事故によって死んでいるかは見当もつかないのが現状です。最近では、野生動物の交通事故についての研究が行われてきています。それらの報告を見てみますと、鳥類では雛が巣立つ7~8月に特に事故が多くなるなど、野生動物の交通事故の発生には何らかの傾向が見られます。近年増えているシカの交通事故は道東地方で特に多く起っています。事故の集中する所は、シカの数が多い所やドライバーの視界が悪い所、交通量が多い所等、複数の要因が重なる所だといわれています。時期的には、繁殖期の10月と越冬地からの分散期にあたる3~4月に多くなっています。

 道東ではシカの交通事故対策として、事故が多い所では「動物注意」等の警戒標識を多くしたり、車のヘッドライトを利用して道路周辺に動物が警戒する光を発する反射板が試験的に設置されています。また、シカの専用通路が道路の下(アンダーパス)や上(オーバーブリッジ)に設置され始めてもいます。

 このようにシカを例にとると交通事故の対策はいろいろ行われてきていますが、最も重要なのは、私たち人間個々人が動物との衝突事故を未然に防止するという気持ちを持って運転することでしょう。個人が行える対策としては、各地での動物の交通事故の傾向を知り、動物注意の標識が多い所では動物が交通事故に遭いにくいスピードを心がけること等が考えられます。こういった心がけが動物を傷付けず、私達自身をも守ることにつながるのではないでしょうか。

(コブハクチョウ,筆者撮影)

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