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エコニュースVol.190

2009年04月01日

<海環境シリーズ Part5>

豊かな海の方が調査してても絶対に気持ちイイ!

株式会社エコニクス
環境事業部 泊担当チーム 西川 明豪

  岩宇地区の沿岸海域は、地形的に急峻な岩礁地帯が多く、山から海底まで一気に落ち込む地形になっています。冬季には栄養塩類(海藻の生長、植物プランクトンの増殖に必要な肥料の役割を果たす)の豊富な海洋深層水が鉛直混合により表層付近まで運ばれ、沿岸の岩礁域には海藻が繁茂します。また、植物プランクトンが増殖し、動物プランクトン、魚類へと食物連鎖がつながり、豊かな生物環境を支えています。このような生物環境を定量的に調査し、どのような生物がどのぐらい存在するかを経年的に調査することにより、生物環境の変遷を把握することができます。
 岩宇地区では、近年ニシンの漁獲量が徐々に増加してきており、明るい兆しが現れています。これは、1996年から道が実施している「日本海ニシン資源増大プロジェクト」の効果が徐々に現れてきているものと考えられます。今年は小樽市の張碓町の沿岸で「群来(くき:ニシンの放精により海が白濁する現象)」が見られたというニュースが流れていましたが、我々が調査を行っている場所にある定置網でもニシンが大量にとれ、ボーナスが出たなんていう話を聞きました。


図 後志支庁におけるニシンの漁獲推移について
出典:マリンネット北海道より(http://www.fishexp.pref.hokkaido.jp/)

  一方、近年北海道日本海側の岩礁地帯においては、藻場が消失し、ウニ類が高密度に分布する「磯焼け」の問題が深刻化してきており、岩宇地区周辺海域においても磯焼けが徐々に広がってきていることは、長年この海域で調査してきた我々は特に感じている現象です。
 潮間帯生物、海藻などの調査は、自然環境に負荷をかけない目視観察(ダイバーが潜水し、単位面積当たりの生物量を目で見て野帳に記録する)という方法で行っています。磯焼け状態の海では、見通しがきき、目視観察には逆に好都合なのですが、なんだか岩石砂漠を見ているようでさびしい気分になります。ウニ類は漁業者にとっては重要な水産資源ですが、藻場が消失するほど高密度に分布する状態になると、身入りの少ない商品価値の低いものとなってしまいます。また、藻場は前述したニシンなど魚類の産卵・育苗場を提供するほか、多くの生物の生息場を提供しており、豊かな海の象徴的存在でもあります。さらに近年では、大型海藻類の光合成により二酸化炭素が吸収されていることも着目されるようになってきており、消失した藻場を再生するための様々な試験・研究がなされてきております。


磯焼け状態


豊かな藻場

  冬の冷たい海に潜るのは、心身ともに凍りつく厳しい業務です。そんな中、海の中ではミズダコ君が隠れん坊をしていたり、カレイ君が砂からかわいい目をひょっこり出していたり、ホテイウオ(ゴッコ)君が不器用に一生懸命泳ぐ微笑ましい姿を見ていると、しばしの間仕事のことを忘れて見入ってしまいます。きれいで豊かな海に潜ると、心も体も洗われて本当に気持ちのいいものです。いつまでも、豊かな海の中でそして気持ちのいい調査ができるよう、心から願ってやみません。

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