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エコニュースVol.165

2007年03月01日

建築シリーズ Part2

建物と環境 Part2

株式会社エコニクス
 環境事業部 施設設計チーム 斎藤 繁幸

 建物の種類を構造別に分けると木造・ブロック造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造の4種類があり一部2種類の構造が合わさった鉄骨鉄筋コンクリート造があります。
 木造・ブロック造は比較的小規模な建物であり、それ以外は大きな建物が多いです。今回この中で一番身近にある木造住宅に関して述べたいと思います。
 日本の一戸建て住宅のほとんどは木造で作られています、昔から日本には森林が多いため比較的木材が容易に入手できたためだと思われます。
昔の住宅といえば木・紙・土により作られており、断熱材も使われず、入口・窓などの建具は木製で容易に隙間風が入ってくるため、室内の暖房には非常に苦労したと思われます。
 そうしたことから、暖かく、作りやすい住宅建設のため、30年ほど前から安価で一見豪華に見える石油化学物質を多用した建築資材が出現しました。室内に置 く家具類に関しても同様な傾向があり、断熱性能を求めるために気密性の高い構造の住宅となり、予期せぬいろいろな問題が発生してきました、代表的なところ でシックハウス症候群や結露発生といったところです。
 シックハウス症候群の対策に関して、現在は法律により人が生活する室内に使用する建材・接着剤・塗料等の使用制限が行われ、最低限の対策が施されていますが、結露に関しての法的制約はないので、建物設計時に十分考慮する必要があります。
 ドイツにおける住宅の平均寿命は60~100年であり、中には伝統的な造りの住宅に手を加えながら400~500年経過したものも沢山あるそうです。住宅 を壊して立て替えるという習慣があまりなく、外観も内装も修理しながら住みやすく整えていく事が基本的な考えのようです。
 個性を大事にする国民性なのですが、こと建築物に関しては奇抜な建物はあまり歓迎されず、その街全体の景観を重視する行政指導も加わり、個人の好みだけに 合わせた建物建築に対して許可がおりません。その様な環境もあってか建物を長く使う習慣が根付いていると考えられます。
 しかしそれと比較して、日本の住宅事情はどうでしょう。本州の旧家など、ごく一部の建物以外は簡単に立て替えが行われ、現在の住宅寿命は30年程度で、高度成長時代に建てられた住宅に至っては20年程度で壊されています。
その理由としては使用している建材自体があまり長持ちしないため、建物自体の寿命が短くなると思われます。
 一般的には、100㎡程度の住宅を建てるためには、製材が約13㎥必要になります。その製材を得るためには、およそ2,000㎡の森林を伐採する必 要があります。しかし、その森林が元に戻るのには約60年かかるのです。ドイツのように住宅を60~100年使用すれば、その間に十分森林が再生していけ ますが、日本のように30年しか住宅を使用しなければ森林はだんだん減少していき、これは大きな自然破壊につながって行きます。
 このことを防ぐためには、より長持ちする住宅を工夫して造り、森林が再生する60年、出来れば100年以上の耐用年数の住宅を建てることが急務であり、我々建築士のこれからの仕事と考えます!

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