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エコニュースVol.064

1998年10月01日

環境ホルモンシリーズ Part2

ホルモンのふりをする環境ホルモン

株式会社エコニクス
 技術開発部 技術開発グループ 本間 義規

 体内の環境を一定に保つためには、状況に合わせて必要なときに各臓器や組織に指令を出す必要があります。ホルモンは、その指令を伝えるメッセンジャーとしての役割を果たしていますが、メッセージを伝えるためには大きく分けると次の5つのプロセスが必要です。

① 内分泌腺においてホルモンが合成される
② 合成されたホルモンは内分泌腺に貯蔵され、必要な時や場合に応じて放出される
③ 放出されたホルモンは血液中を経由して輸送され、目的臓器の細胞に到達する
④ ホルモンが目的の細胞にある受容体と結合して活性化される
⑤ NAに働きかけタンパク質の合成や細胞分裂の調整を指示するシグナルを発生させる

 環境ホルモンの多くは、④のプロセスを妨害すると考えられています。ホルモンと受容体には、鍵と鍵穴の関係があって、本来決まったペアとのみ結合します。ところが、環境ホルモンはホルモンのふりをして受容体に結合し、必要以上にメッセージを伝えたりホルモンの作用を妨害します。

 これ以外にも、例えば、ダイオキシン類や有機スズ化合物などは5のプロセスに障害を与えるとの指摘もされており、また、カップラーメンの容器などに含まれているスチレンダイマーやスチレントリマーは脳の下垂体におけるホルモン合成を阻害する、すなわち1~3の段階に障害を与えるものと考えられています。また、個々の環境ホルモンは低濃度であっても複数の環境ホルモンが作用した場合、カクテル効果と呼ばれている複合作用によって、大きな影響を与えることが知られています。現実的には大気や食物などあらゆる経路で環境ホルモンを体内に取り込んでしまうケースが多く、内分泌機能に障害を与える実際のメカニズムは複雑であると思われます。


環境ホルモンが影響を与えるメカニズムの一例

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