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エコニュースVol.063

1998年09月01日

環境ホルモンシリーズ Part1

環境ホルモンは猛毒?

株式会社エコニクス
 技術開発部 技術開発グループ 本間 義規

 一般的に毒物は、極めて低い濃度であれば影響が少ないものが多いですが、環境ホルモンは、想像もつかないほどの低い濃度で影響を与えます。その点では、環境ホルモンはあたかも猛毒のような印象を受けますが、一般的な毒物と違うのは、その影響が現れてくるには時間がかかり、すぐ命にかかわるほどの影響が現れるとは限らないところと、次世代以降への影響が考えられるところです。

 また、環境ホルモンと毒物には、はっきりとした境界線がありません。高い濃度では毒物のように作用し、ごく低濃度では環境ホルモンのように振る舞う物質が存在し、その例としてダイオキシンがあげられます。

 従来までは、化学物質による人体や生物などへの影響について議論するとき、はじめに毒物としての致死性(死亡する)レベルで、次の段階では、発ガン性や催奇性(奇形を生ずる)レベルで危険な物質として議論されてきました。しかし環境ホルモンでは、さらにもう一歩踏み込んで、内分泌機能(ホルモンによる体内の調節機能)レベルでの影響を考える必要があり、今までにはない新しい観点を取り入れなければなりません。

 このことから、環境ホルモンそのものが猛毒というわけではなく、『非常に低い濃度で生物の内分泌機能へ影響を与える物質』ということになります。

 環境ホルモンによるものと考えられている野生生物への影響は、数多く報告されています。しかし、人体で起こっているいろいろな現象については、環境ホルモン以外にもあらゆる要因が関係してくるので、何もかも環境ホルモンだけのせいにするには無理があります。環境ホルモンと疑われている化学物質をただ闇雲に排除するのではなく、冷静にこの問題に取り組む必要があるように思われます。今すぐできる防御法は、まず一人一人が環境ホルモンを正しく理解することです。


<化学物質による影響に対する考え方の流れ>

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