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エコニュースVol.066

1998年12月01日

生物多様性シリーズ Part1

生物多様性とは?

株式会社エコニクス
 顧問 富士 昭

 生物多様性は、すべての生物の間の変異性をいうものであり、「遺伝子」、「種または個体群」および「群集または生態系」の3つのレベルからなる組成的、構造的、機能的階層性を備えた生物要素の概念とされています。各レベルの要素は、遺伝的多様性が種や個体群の構成に、種類の多様性が生態系の多様性の構成に相互に関係しており、種や生物群集が継続的に生存していくためには必要不可欠な相互関連をつくっています。ヒトがこうした生物多様性をかけがえのないものと考えるのは、ヒトの生存に必要な生活資材を多様で広範囲な生物資源に全面的に依存しており、食物をはじめ衣服住と燃料の原材料利用という直接的利用価値、大気組成の維持や水循環、土壌生産力の維持、廃棄物の分散・分離・循環など生存のための間接的利用価値に加えて、精神的・文化的倫理的・宗教的思考からこれらの恩恵を未来世代に引き継ぐ責任あるものとしての非利用的価値の重要さに気付いたからです。

 生物多様性の3つの要素はいづれも重要ですが、そのうちで最も深刻で取り返しのつかない事態を招くのは種の絶滅です。種が無くなることは、その種特有の遺伝子組み合わせや遺伝情報などが永久に失われ、その集団を復元することは不可能となり、結果として生物群集は構成員の一部を失うことにより脆弱化してしまいます。それは、種・個体群階層の要素は生物種間の相互作用と生息条件の要求性によってその上のレベルである群集・生態系階層を構成する一方で、生殖細胞の働きによって個体群内および個体群間の遺伝子階層の諸性質に影響を与えるために、種が生物多様性の鍵となるような位置にあることによります。17世紀以降の絶滅種数は約700種といわれています。そのうち比較的正確に見積もられているとされている哺乳類と鳥類の絶滅は、1600~1700年の100年間では20種程度でしたが、1850-1950年の100年間ではこれまでの約5倍と推定されています。

 このような絶滅率の急激な増大は、人口増加と経済開発に伴う生物資源の需要拡大のための生物生息地の消失や分断化・劣化、他用途への転化、野生生物の過剰利用、環境の人為汚染などが主な原因となっています。種の絶滅は単にその種が失われただけに留まるわけではなく、地域個体群の絶滅、地域個体群の縮小による遺伝的多様性の低下、固有性の高い生物群集を含む生態系の縮小や破壊という形で生物多様性のすべての階層の劣化につながることになります。従って、種の絶滅は生物多様性保全の危機を把握するための指標といえます。

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