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エコニュースVol.237

2013年03月01日

<海の生物シリーズ Part23・なまこ>

これからどうなる、道南なまこ!!

株式会社エコニクス
顧問 佐野 満廣

 1991年から2011年までの道産なまこの漁獲統計の動きをみると(図-1)、1999年までは、漁獲量1,000~1,500トン、金額5~7億円、単価500~600円/kgの範囲でそれぞれほぼ横ばいで推移していました。ところがその後、単価が上昇、呼応するように漁獲量も増え続け、2010年、北海道全体の漁獲金額はついに過去最高の107億円に達しました。特に単価の上昇が著しく、2010年の4,536円/kgになるまで、実に2002年から9年間も上がり続けたのです。そして2011年、単価は前年を下回るものの漁獲量がやや増え、金額は105億円と道産なまこは依然、好調と思われました。しかし、これまでとは一変する動きがあったのです。2010年と2011年の月別単価の推移を比較すると(図-2)、5月までは同じような値動きでしたが、2011年は5月の5,000円を超える最高値を最後に下落が続き、11月には2,000円を下回るという、道産なまこの価格形成にこれまでみられない変化があったのです。

 
 (弊社、社員撮影)

 道産なまこの種名はマナマコですが、中国では刺参(ツーシェン)と呼ばれる北京料理の高級食材です。刺(疣)が多く際立ったものが良質とされ、道産なまこの乾燥製品は、香港のなまこ問屋街で最高級品の評価を得ています。北海道に次いでマナマコの漁獲が多い青森県の陸奥湾産は、中国東北地方の遼寧省や山東省の養殖マナマコと同等の評価で道産なまこの下位にランクされています。
 中国の研究者によると養殖されているのはすべてマナマコで、乾燥重量で2002年5,685トン、2003年9,000トンの生産が報告されています。乾燥製品の歩留まりを3.75%とすると、それぞれ151,000トン、240,000トンの生重量に換算されます。最近は病気の発生などで減産の年もありますが、生重量で50,000トン以上の生産が続いているようです。

 中国の養殖産業は2000年代に急速に成長し、市場への大量供給が続いていますが、少なくとも2010年まではその影響もみられず、道産なまこは単価の上昇を続けてきました。この間、影響を受けた陸奥湾産は何度か価格の下落を経験してきました。流通形態にも大きな変化がありました。道産なまこは加工され乾燥製品で輸出されていましたが、2004年から陸奥湾産が塩蔵出荷になり、2008年には道産なまこの多くも塩蔵出荷になったようです。塩蔵品の流通は砂糖添加の重量嵩上げや密輸が多いと指摘されています。
 2011年の道産なまこの価格はなぜ暴落したのでしょうか。塩蔵品の不正添加物問題によって取り締まりが強化され荷動きが止まったことや、3.11東日本大震災の福島原発事故に伴う中国への輸出環境悪化などが要因にあげられています。道産なまこは日本産であることが明瞭なことから、中国消費者の買い控えの対象になったとも言われています。一方、2012年に入ってからは陸奥湾産が輸出増に転じ、しかも道産なまこを超える取引価格です。皮肉なことに、中国産として取り扱えることが後押ししたのではとも言われています。

 この価格の暴落は、これまで築き上げられた中国国内での歴史的な価値が損なわれたからではありません。中国国内の需要もまだ衰えてはいません。製品の保蔵性の向上や加工副産物の利用などメリットを考えると、乾燥製品での輸出の検討が必要かもしれません。俵物三品として輸出していた頃から北海道で培われた加工技術の復活です。しかし、複雑と言われる中国のなまこ流通システムに受け入れられるか否かが大きな課題と言えそうです。

野生マナマコの世界一の生息場であり、漁場を持つ北海道!
10年あまりで5億円漁業から100億円漁業を生み出した北海道のマナマコ資源!
資源管理、増殖、加工、流通等多くの課題が残され、まだまだ目の離せない資源です。

<参考文献>
ナマコを歩く(新泉社)
ナマコ学 -生物・産業・文化-(成山堂書店)
水産振興「国際商材ナマコ製品の市場と流通事情」(東京水産振興会)

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