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エコニュースVol.082

2000年04月01日

漁業シリーズ Part1・内水面漁業との共生 その2

氷上の穴は集魚灯!?

株式会社エコニクス
 取締役 佐々木 達

 茨戸、網走湖、北村などでの氷下ワカサギ釣りは冬の風物詩として親しまれています。今回はそのワカサギについて話して行きたいと思います。

 日本産ワカサギは1902年Jordan &Snyderによって、北米やヨーロッパに生息するワカサギと同一種Hypomesus olidusとして記載され日本にはワカサギ1種だけが分布していると考えられています。

 約半世紀後の1961年に浜田が北海道石狩古川に生息する個体群をワカサギの別種としイシカリワカサギ、Hypomesus sakhalusと命名し、日本には2種類のワカサギが生息することが分かりました。

 その後、カナダのMcAllister(1963)により、石狩に生息しているイシカリワカサギは北米、ヨ-ロッパに生息しているワカサギと同一種であり、石狩以外の日本に生息しているいわゆるワカサギ(以前Hypomesus olidusといわれていた種)が日本固有種であることが分かりHypomesus nipponensisイシカリワカサギにはHypomesus olidusという学名が与えられ今日に至っています。

 ワカサギの学名であるHypomesusはラテン語で中央、すなわち、腹鰭が身体の中央に位置すること、olidusは脂っぽいことを意味します。

 次に、氷下のワカサギ釣りを少し科学的に見て行きます。

 早春に産卵するワカサギはエネルギーの蓄積に、厳しい冬期間も索餌を中止することもなく旺に湖中の甲殻プランクトン類を摂食します。しかし、すう光性をもっている甲殻プランクトンは暗黒の湖中での動きは鈍く、日常なら日照の日中変化に伴って垂直移動をしますが、このように常時暗黙の時には湖の表中下層全域に渡って分散分布しています。従って、このように散在しているプランクトンを食べることは極めて非能率的となります。ところが、このような暗黙の水中に、氷りに開けられた穴から陽光が集中的に投入されると、それまで分散していたプランクトン類はこの光に向かって集まってきます。すると、このプランクトンを求めてワカサギが氷穴下に集まり、穴から降ろされた釣り餌にワカサギが飛びつきます。このようなワカサギの生態を利用して釣りが行われています。

 ところで、今年の釣果は如何でしたか。

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