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エコニュースVol.108

2002年06月01日

土壌汚染シリーズ Part1・急がれる土壌汚染対策 その1

土壌汚染対策法の公布

株式会社エコニクス
 技術顧問 北海道大学名誉教授 大橋 弘士

 「土壌汚染対策法」が今国会で審議され、成立すれば来年1月に施行される予定となっています。この法律は、鉛、砒素、トリクロロエチレン等の特定有害物質による土壌の汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めること等により、土壌汚染対策の実施を図り、国民の健康を保護することを目的としています。この法律の骨子は次の5項目のようになっています。

(1)土壌汚染状況調査:水質汚濁防止法上の特定施設を廃止した工場等の敷地及び人の健康被害を生ずるおそれがあると知事が認めた土地について、土地の所有者等(所有者、管理者又は占有者)は指定調査機関に調査をさせ、その結果を知事に報告しなければなりません。

(2)指定区域の指定:土壌の汚染状態が環境省令で定める基準に適合しない場合には、知事が「指定区域」に指定・公示し、台帳を調製・保管します。台帳は閲覧できます。

(3)土壌汚染による健康被害の防止措置:知事は、指定区域内の土地について、人の健康被害が生ずるおそれがあると認められる場合には、土地の所有者等又は汚染原因者に対して、汚染除去・拡散の防止等の措置を命令できます。指定区域内において土壌の採取その他の土地の形質変更をする場合は、事前に知事に届出を行わなければなりません。知事は施工方法に関する計画の変更を命令できます。

(4)指定調査機関の指定:環境大臣は、土壌汚染状況調査の業務を的確かつ円滑に遂行できる経理的基礎及び技術的能力を有するものを指定調査機関として指定・公示します。

(5)指定支援法人の指定:環境大臣は、汚染の除去等を講ずる者に対して助成を行う地方公共団体に対し、助成金を交付すること等の業務を行う支援法人を指定します。

 土壌汚染の発見件数は年々増加の傾向にあり、特に都市型の土壌汚染が顕在化しつつあります。居住環境の保全のために、土壌汚染対策は緊急の課題であります。土壌汚染対策法の制定・公布は、国としての取組みが確実に実施されることになったことを示すものと考えてよいでしょう。

 

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