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2016年03月22日

紋別でケショウヤナギの市民見学会に参加

【渚滑川河畔ケショウヤナギ市民見学会】に参加しました。

開催日:平成28年3月6日(日)
場 所:紋別市(紋別市渚滑市民センター、渚滑川河川敷)
主催者:一般社団法人 紋別観光協会

 今年関わらせて頂いた仕事の関係で、上記「ケショウヤナギ」の市民見学会のご案内を頂き、当社も参加者の一員として、勉強させて頂きました。
 見学会に先立ち、まずは室内講座として、「ケショウヤナギの特徴について」と題して、環境林づくり研究所 斎藤新一郎所長から、また「渚滑川とケショウヤナギの変遷、現状と保全に向けた取り組みについて」と題して、網走開発建設部治水課 木下誠一流域計画官から、それぞれ講演がありました(写真 1)。
 


写真 1 室内講座の模様
 

 ケショウヤナギは、ヤナギ科ケショウヤナギ属の樹木です。風で花粉を運ぶ「風媒花」であることなど、ヤナギ科の中でも原始的な生態を持っており、「氷河期の生き残り」であると言われています。河川沿いの、石がごろごろした「礫河原」を好んで生育する植物ですが、現在の生育地は、本州では上高地(梓川)、道内では札内川などの十勝川流域、日高地方のごく一部、そして渚滑川と、ごく限られており、北海道レッドデータブックでは「希少種」とされています。
 今回の講演では、渚滑川のケショウヤナギは種子散布の時期など他地域と異なる特徴があることから、新種(変種ないし品種)として登録出来る可能性がある、特に希少性の高いものである、とのことでした。また、治水事業が進み洪水が減ったことで、生育適地である礫河原も減っており、その影響で特に樹齢が若い個体が近年減少傾向にある、地域と一体となっての保全対策が必要、というお話でした。
 続いて、渚滑川の河川敷に移動し、実際にケショウヤナギが繁茂している状況を見学しました(写真 2)。
 


写真 2 現地見学の模様
 

 ケショウヤナギは、厳冬季に若枝が赤くなり、その根元の小幹は白い蝋質をまとうことから、「白粉つけて、紅つけて」ということでその名がついたそうです。
 当日の天気は生憎の小雨模様でしたが、対岸に広がる群生地はまるで紅葉のように真っ赤に染まり、ほぼモノトーンの雪景色に彩りを加え、なかなかの眺望でした。
 見学会の最後には、密生してひ弱なケショウヤナギ林を元気にする方法として、間引きと伐株更新(古い幹を倒し新たな萌芽を促すことで、健全な幹を育てる方法)の実演も行われました。倒した幹は、参加者のおみやげとして切り取り自由、ということで、密かにノコギリと剪定バサミを持参していた当社も、ちゃっかり赤い小枝と円盤(年輪を読むための、幹の「輪切り」)を頂いてしまいました(写真 3)。
 


写真 3 おみやげ(ケショウヤナギの小枝と円盤)
 

 今回の催しを主催された(一社)紋別観光協会の安部光典専務理事は、この景観を観光資源として、流氷、オジロワシなどと組み合わせ「冬の紋別にしかない自然の魅力」として活かしていきたい、そのためにはまず貴重なケショウヤナギをしっかり保全していく、地道な取り組みが重要、とお考えとのことでした。
 「環境ナビゲーション企業」の当社としても、貴重な自然環境の保全と、観光など地域の振興、そして市民の安全な暮らしを守る治水事業とをうまく結びつけ、皆にとってより良い明日に繋がるような形を、今後ご提案していきたいと考えています。

文責: 環境事業部陸域環境Ⅱチーム 田口 敦史

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